桂男について
桂男(かつらおとこ)とは、日本の妖怪の一種で月の住人。和歌山県で伝承されている。妖怪とはいえ、雅やかな名前を持ち仙人のような性質で、絶世の美男子の姿をしている。『伊勢物語』の中で、在原業平と思しき主人公に対して、「桂男の君のような」と言う言葉が奉られていることもあってか、単に美男のことも指すようになった。
また月の兎と同様、桂男はもとはインドの説話が中国を経て伝わったものだともいう。中国の唐代の古書『西陽雑俎』によれば、桂男は西河出身の人間で、性は呉、名は剛。仙法を学んだ罪で、月にある月宮殿という大宮殿で500丈(約1500メートル)もの高さの桂の木を刈っているという。このように、月の宮殿で桂男が桂の木を切るという伝説は日本にも伝わっている。
和歌山の下里村の伝承では、満月ではないときに月を長く見ていると、桂男に招かれて命を落とすことにもなりかねないという。 桂男は江戸時代の奇談集『絵本百物語』にも描かれ「月の中に隅あり。俗に桂男という。久しく見る時は、手を出して見る物を招く。招かるる者、命ちぢまるといい伝う。」などとあり、「見るたびに 延びぬ年こそうたてけり 人のいのちを月はかかねど」という歌があるとして紹介している。(wikipedia)
先日妖怪(九十九)に関する作品を観て、桂男のことを思い出したし、今日は満月ということなのでここに記した。まあ桂男は満月には現れないのだけれど。桂男といえばここに貼った絵よりも絵本百物語のほうが有名だと思うが、この絵の方が私の好みなのでこちらで。先日天文部であろうにうっかり名月と間違え、満月のようでそうではなかった月を見てしまった私は桂男と目が合っていたのだろうか、なんと惜しいこと。満月でないとわかっていれば意識しながら見つめたのになあ。明日から見つめればいいだけか。
不思議なのは満月の日以外に現れるというところ。何かと伝承されるものは限られた時期や限られた空間に現れたり起こることが多いように感じる中での桂男。彼は月が見えさえすれば、いつでもどこでも現れる君。月の美しさに心奪われる人は古くからいたのだろう。それ故の伝承か。仙人のように穏やかで絶世の美男子であるのにも関わらず、仙法を学んだ罪により人々から避けられ恐れられる桂男。その悲しみの美しさは今もなお人を惑わす。私もその一人にすぎない。命延びずとも、命縮もうともあなたに惹かれてる。月光浴たることをしていたころから知らず知らずに虜になっていたのだ。
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